Nilaxストーリー

ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために。

念願のマネジャー職。託された、新店舗立ち上げの使命。

ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために。

東京・世田谷の『BUFFET THE VILLA』で、マネジャーとして店舗を取り仕切る仲村。「店舗運営は、チーム戦」を合言葉に、様々な店舗で華々しい実績をおさめてきたニラックスを代表する中堅プレイヤーのひとりだが、その信条は若手時代のある経験に裏づけられている。
仲村が、初めてマネジャーを任されたのは、24歳、入社4年目のこと。配属が決定した『パパゲーノ 千種千代田橋店』は、開店前の新店舗。まだマネジャーとして何の経験もない仲村に、オープニング店舗の立ち上げという大役が任されたのだ。
念願のマネジャーになれる嬉しさと、会社の期待を背負った新店舗のスタートを任されたプレッシャー。ふたつの相反する想いで揺れ惑いながら、仲村は現場に入った。全体の設計イメージは完成しているものの、内装工事はまだ途中段階。クルーの採用と教育もこれから進めていかなければならいという現状だ。まず自分にできることを精一杯やろう。そう決めて、特に人材教育に力を入れて取り組んだ。

「オープン前ですから、当然お客様は誰もいません。その中で、どれだけ通常営業の状態を想定して事前にトレーニングができるか。それがスタートダッシュの肝でした。とは言え、『パパゲーノ』は当時まだ珍しかったイタリアンブッフェ。バイキングに行った経験が少ないクルーも多く、通常のレストランにはないブッフェならではのこだわりを実感させることは正直難しかったですね」

ブッフェならではの特殊なサービススタイル。試行錯誤の毎日が続く。

とりわけ仲村が気を配ったのが、ブッフェ台の第一印象だ。お客様は、どんな料理を食べられるか、期待に胸を膨らませてブッフェ台に向かう。その時、自分の食べたいメニューがなかったり、ブッフェ台の見た目が悪ければ、それだけで一気に満足度が下がってしまう。そんな繊細な顧客心理を理解してもらおうと、仲村は何度もクルーたちに説明を重ねた。

「極論を言えば、ブッフェスタイルのレストランの場合、注文を取りに行ったり食事を運んだり、そんなふうにホールスタッフがサービスを提供しなくても、お食事はどんどん進んでいきます。じゃあ、クルーたちは何のためにいるのか。どんなサービスを提供すれば、お客様に喜んでいただけるのか。そのことを一人ひとりに気づいてほしくて、いろいろ試行錯誤していましたね」

大切なのは、お客様より先に気がつくこと。「ちょっとしたひと声の違いが、お客様の満足度を変える」と仲村は秘訣を語る。

「たとえばキッチンから料理があがってきたら、お客様に“できたてですよ”とひと声かけるだけで、作りたてのおいしさを存分に楽しんでもらえる。もし品切れになっていても、“あと何分でできます”とフォローすれば、お客様も“じゃあ、また後で取りに来ます”と笑顔で答えてくださる。そういう小さなコミュニケーションの積み重ねが、また来たいという大きな満足につながるんです」

大盛況に終わったオープン初日。深まるクルーとの結束感。

ブッフェならではの独特のサービススタイルの浸透に頭を抱えながらも、いよいよ『パパゲーノ 千種千代田橋店』は開店の日を迎えることとなった。期待と不安の入り混じる初日。しかし、それは感慨に浸る間もなく時間が過ぎていった。

「とにかくたくさんのお客様にお越しいただいて、 1日中大忙しでした」

『パパゲーノ 千種千代田橋店』は、人気のショッピングセンター内に出店している。その抜群の立地条件も手伝って、初日から大勢のお客様がつめかけたのだ。以降も、地域にどんどん評判が広まり、同店は月間の営業目標を連続で達成。一躍、人気店に躍り出た。
仲村はお客様の期待に応えられるよう、経験の浅いクルーを引っ張り、チームをまとめた。自身も、初めてのマネジャー職。とにかくまずはメンバーのことをしっかり理解しようと面談を重ね、長所や短所を把握することから始めた。その上で、各自の強みを伸ばしていけるよう役割分担を決定。時には閉店後に、クルーと一緒に飲みに行くなど、コミュニケーションも活発に交わした。手探りの日々だったが、様々な局面を共に乗り越えることで、自分自身もチームそのものも少しずつ確かに成長していった。

メンバーの成長が、一番の喜びになる。初めて知ったマネジャーの醍醐味。

「それを実感したのが、オープンから1年以上が経過したある日のこと。僕がどうしてもお店を休まなければいけないことになったんです」

様々な事情があり、当時社員は一時期的に仲村ひとり、残りはすべてアルバイトという構成だった。仲村は社員の補充が入るまでの間、休日もこまめに顔を出すなどして現場をフォローしていたが、その1日だけはどうしても店に足を運ぶことができなかった。

「店にいるのは、全員アルバイト。もし何か起きた時に、誰が対応できるのか。正直、不安で不安で仕方ありませんでした」

そんな仲村の憂慮をよそに、店舗は大盛況のうちに営業終了。普段よりも客足の多い1日を、トラブルなくアルバイトだけで乗り切った。その成長ぶりに、閉店後、報告を聞いた仲村は「自分のやってきたことは間違いじゃなかった」と胸が熱くなった。

「アルバイトという立場を越えて、クルー全員が力を合わせて店を盛り立ててくれた。中には、勤務時間が終わっているのに、自分から延長を申し出てくれた子もいたくらい、みんなが仕事に強い責任感を持ってくれていた。いい店をつくろうと、1年半かけて試行錯誤を繰り返してきたその結果が、このチームの強い絆なんだと思うと、本当に嬉しくてたまらなかったですね」

ずっと憧れだったマネジャー職。でも、本当に重要なのは肩書きなんかじゃない。一緒に過ごしたチームのクルーが、自分を本物のマネジャーにしてくれた。仲村は、そう実感した。

かつての仲間が教えてくれた、マネジャーにとって一番大切なこと。

そんな矢先、新たな店舗に異動が決まった。慣れ親しんだ仲間との別れに、仲村は離れがたい想いを隠せなかった。しかし、そんな仲村を待っていたのは、共に過ごしたクルーからの温かい餞のメッセージだった。

「最終日に、クルーのみんなが僕宛てにたくさんのプレゼントを用意してくれたんです。手作りのアルバムに、色とりどりの寄せ書き。そして、今までの想い出を綴った直筆の手紙。中には、もう既に退職したクルーからのものもあって、ひとつひとつ読み返すうちに、ここで過ごした2年半が次々と甦ってきました」

お客様も働くクルーも満足できるお店をつくりたい。その一心で、初めてのマネジャー職を走りぬいてきた。クルーからもらった抱えきれないほどのプレゼントは、仲村にとってこの2年半の一番のボーナスだった。
そして、今、14年目の中堅となった今も、当時の経験は仲村の原点となっている。

「この『BUFFET THE VILLA』に来て、最初に気になったのが、クルーがみんなバラバラの方向を向いていること。一部の人間だけが仲が良かったり、周りのことなんて我関せずといった者がいたり、新しいクルーが来ても馴染みにくい風土になっていました。もちろん、その店にはその店なりの歴史があるし、やり方がある。だけど、やっぱり店舗の運営は、チーム戦。全員がひとつの方向に向かって結束することで、結果的にお客様へのパフォーマンスも上がってくると思うんです。着任からのこの1年間は、ひたすらチームの意識改革に取り組んできた1年でした」

お客様の笑顔のために。そして、仲間の笑顔のために。

ニラックスの社員の名刺には、「私の宣言」という一文がある。ここには、それぞれ1人ひとりが自分の指針となるような言葉を選んでいる。仲村の名刺に記された言葉は、“One For All,All For Smile”――仲村は、この言葉にどんな想いをこめたのだろうか。

「最初にね、“One For All,All For One”って言葉が浮かんだんです。でも、ちょっとベタだなと思って(笑)。どうしようか最後まで悩んだんですが、やっぱりこれしか浮かびませんでした。ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために。有名な言葉だけど、僕にとっては一番大事な言葉。でも、少しだけオリジナリティを加えたくて、最後に“Smile”を入れたんです。この“Smile”は、お客様、そして働く仲間みんなの笑顔。僕たちのこの仕事は、人の笑顔を生む仕事だから」

みんなが笑顔でなくちゃ意味がない。それが仲村の目指す理想のお店だ。店いっぱいに最高の笑顔を生むために、仲村は今日もフロアに立つ。ぴんと伸びた背筋は、一流のサービスマンの証だ。そして、まっすぐに見据えた視線の先には、いつもお客様と仲間の笑顔がある。

(掲載内容は取材当時の情報です)

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