Nilaxストーリー

楽しく働ける店舗の土台をつくるために。 出店ラッシュを支えるプロモーターの素顔。

プロモーター。それは、新店立ち上げのエキスパート。

楽しく働ける店舗の土台をつくるために。 出店ラッシュを支えるプロモーターの素顔。

ニラックスには「プロモーター」と呼ばれるポジションがある。新店オープンあるいは業態転換に伴うリニューアルオープンにあわせて、クルーの新規採用からトレーニングまでを請け負う、言わば店舗立ち上げのエキスパートだ。

ひとつの店舗に関わる期間は約2ヶ月。その間に、まだ産声をあげたばかりの新店舗が通常通り営業を行えるよう土台づくりを担う。加藤はそんなプロモーターのひとりとして年間4~5店の新店舗立ち上げをサポートしている。

「マネジャーをやっていた頃から、いずれプロモーターをやってみたいと思っていました。だから辞令をいただいたときは、素直に嬉しかったです」

そう加藤は目を輝かせる。

店舗の立ち上げは一大プロジェクトだ。規模によって様々だが、オープン時の採用人数は80~90名。納得のいく採用をするためには1店舗あたり最大で300名近い面接を実施することも。さらに、採用が決まったクルーに対しては、オープンに向けてトレーニングを行う。プロモーターにとっては息つく間もないような毎日だ。

「しかも採用が決まった人の多くが、飲食業界未経験。知識も経験もない人たちを、目安として2週間の間にピークタイムに対応できるレベルにまで育てなければいけません。プロモーターは人の資質を見抜く目と、育てる力が求められるポジションなんです」

相次ぐ大量離職。課題は“クルーが辞めない環境づくり”。

加藤がプロモーターとなったのは、2017年。ちょうど『むさしの森珈琲』が一気拡大を図るタイミングだった。当時まだ5店舗ほどの『むさしの森珈琲』を1年間で12店舗にまで展開する。怒濤の出店ラッシュを支える屋台骨として、加藤は日夜奔走した。

だが、当時はまだ『むさしの森珈琲』自体が、十分に基盤の整っていない時期だ。相次ぐ出店で勢いづく一方、現場には小さな歪みも生まれていた。そのひとつが、クルーの定着率だ。

「当時はとにかく出店までに人を入れなきゃと思って、大量採用を行っていました。でも、そうするとどうしてもミスマッチが起きるし、全員に教育が行き届かなくなる。結局、オープン後に20~30名のクルーが大量離職するという問題が各店舗で発生していました」

たとえ一時しのぎで人を採用しても、すぐに離職となっては意味がない。むしろ教育コストを考えれば、店舗にとってはデメリットの方が大きい。クルーの定着は、プロモーターチームの喫緊の課題となった。

「定例でプロモーターチームでミーティングを行っているのですが、そこでクルーの方たちが辞めない環境をつくるにはどうすればいいか、みんなで討議しました。その結果、まず改善案として出たのが、“クルーをほったらかしにしない”ということでした」

1店舗あたりのクルーの数は約90名。それに対し、社員の数はほんの数名。特に多忙なオープン期ほど社員もやるべきことに追われ、1人ひとりのクルーになかなか目を向けられていない自覚があった。まずはこの状況にメスを入れなくては、クルーが辞めない環境などなし得ない。加藤らプロモーターチームは早速具体的なアクションプランを練った。

「まず着手したのがトレーニングプログラムの変更です。当時はひとりのプロモーターが、1回で最大7~9人の新人クルーを教育していました。教える相手が多ければ多いほど、個別の理解度や習熟度をチェックするのは難しくなる。そこで、1回で教えるクルーの人数を最大でも3~4人にまで抑え、その分、1人ひとりに寄り添ったトレーニングを行えるよう体制を変えました」

しかし、そのためには今度は教える側の人員が必要だ。その対策として実行したのが、自分の分身づくり。つまり、自分と同じようなトレーニングを実施できる人材を育てることで、新人クルー全員が均質な教育を受けられるようカバーした。

「『むさしの森珈琲』の場合、業態転換による出店も多く、以前の業態で働いていたクルーが転換後も引き続き働いてくれるケースが多々ありました。業態は違えど接客には慣れている分、他の人たちよりも成長スピードは速い。こうした既存クルーの力を借りることで、全体の底上げを図りました」

早期離職ゼロへ。丁寧なフィードバックが1人ひとりのやる気を引き出す。

また、もうひとつ辞めない環境をつくるために心がけたことがある。それが、褒めて伸ばす仕組みづくりだ。

「新人のうちはみんな不安で当たり前。そのときに必要なのは、褒めることです。褒められたら自信もつくし、ちゃんと見てもらえているという実感がモチベーションにもつながる。きちんと声かけすることを以前より意識するようにしました」

特に注力したのが、出勤時と退勤時のコミュニケーションだ。まずはクルーが出勤してきたら、その日の仕事のポイントをしっかりと共有する。その上で1日の仕事が終わった後は必ず振り返りを行った。今日の勤務を見て、良かったポイントを具体的に挙げ、しっかり褒めたたえる。その上で、次の課題を伝え、労いの言葉をかける。これまで多忙にかまけて、なかなか十分にできていなかったフィードバックに重点を置くことで、クルーのモチベーションを高めた。

「もちろん本当に忙しいときは十分にフィードバックの時間をとることができないケースもありまます。でも、そんなときでも日報にコメントを残したりするなど、相手に伝える工夫は欠かさないようにしました」

そうした地道な積み重ねは、少しずつ数字となって表れていった。当初は数十名レベルで発生していた早期離職も次第に減少。現在、加藤は『むさしの森珈琲 松戸新田店』の立ち上げに携わっているが、オープン後の離職はほぼないと言う。

「お店にとって大切なことは、一度入ったクルーにできるだけ長く楽しく働いてもらうこと。クルーから『働きやすいお店ですね』と言ってもらえることは、今の僕にとって何よりの褒め言葉です」

お店の空気づくりは最初が肝心。だからこそ、楽しく働ける環境にこだわる。

プロモーターである加藤は、店舗が軌道に乗れば、また別の店舗へと移っていく。ひとつの店舗にとどまっていられる時間は限られている。そんなプロモーターという立場から見た、仕事の喜びを感じる瞬間はどんなときなのだろうか。

「いちばんは、グランドオープンの日です。プロモーターにとって、グランドオープンはお店の主導権をマネジャーへとバトンタッチするときでもある。それまではプロモーターが指揮をとって準備を進めますが、グランドオープン以降は文字通りマネジャーがお店のトップ。自分の力を借りなくても、マネジャーとクルーが力を合わせて滞りなく営業している姿を見ると、胸に熱いものがこみ上げてきます」

自分は、いずれ店からいなくなる。そう自覚しているからこそ、その胸にはプロモーターとして守りたい信念がある。

「これからお店を守っていくのはマネジャーとクルー。僕は店を離れたら、もう直接してあげられることはほとんどありません。だから、それまでの間にやるべきことは、みんなが笑顔で楽しく働ける空気をつくること。お店の空気づくりって最初が肝心なんです。最初にいい空気がちゃんとつくれたら、人が入れ替わってもカルチャーとして受け継がれていく。その最初の土台をつくるのが、プロモーターである僕の仕事だと思っています」

いずれお店からいなくなる。でもきっと何か残せているものが、ある。

たとえば、『むさしの森珈琲』の従業員用休憩室には、ある共通のものが設置されている。それが、特製のウエルカムボードだ。そこにはクルー1人ひとりの笑顔の写真と自己紹介のコメントが飾られている。時間帯ごとに様々なクルーが出入りする飲食店では、同じ店でも働く時間が違うとほとんど関わりのないメンバーも多い。

「だけど、こうしたボードがひとつあるだけで、少しでもお互いのことがわかるし、新しく入ってきたクルーも馴染みやすい。今ではほとんどの店舗で採用されています。こうした小さなことからでも、お店の温かい空気づくりの力になれたら」

現在、『むさしの森珈琲 松戸新田店』の立ち上げに関わる加藤だが、それが終わればまた別の店舗へと赴く。プロモーターの仕事に、ゴールはない。だが、決してその場限りの応急仕事でもない。彼らの残した足跡は、ちゃんと店舗に残っている。

「たまに以前プロモーターとして関わったお店に行くことがあるんですけど、そこで自分がトレーニングを担当したクルーの成長した姿を見たり、いろいろ話をしたりすると、すごく嬉しくなりますね」

そう照れ臭そうに笑った。積極的な店舗展開でマーケットを広げ続けるニラックス。その成長の足元には、加藤のようなプロモーターたちの地道な支えがあった。

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