Nilaxストーリー

コンプレックスを乗り越えた先に。見つけた、最高の仲間と確かな自信。

同世代には負けたくない。劣等感でいっぱいだった新人時代。

コンプレックスを乗り越えた先に。見つけた、最高の仲間と確かな自信。

入社した時から、絶対に同世代には負けたくないという気持ちが強かった。負けず嫌いの根底にあるのは、コンプレックス。笹原には、大卒という立派な肩書きがない。同い年の友達がキャンパスライフを謳歌している頃、笹原は電気工事の職員として現場で汗を流していた。この世界に飛び込んだのも、始まりはアルバイトから。22歳の時に、ニラックスの親会社であるすかいらーく系列の焼肉店でバイトを始め、いつしか店長代理を任されるまでに成長した。それでも、将来の展望はずっと見えなかった。

「同世代が就職しはじめて、いよいよこのままじゃマズいと思うようになったのが、24歳の頃。ちょうどその頃に当時のマネジャーから正社員にならないかと声をかけてもらったんです」

学歴にコンプレックスを持っていた笹原にとって、それは願ってもないチャンスだった。この大企業で自分の力がどこまで通用するか試してみたい。反骨心を胸に、とにかく仕事に打ち込んだ。店舗の移管に伴い26歳でニラックスに転籍。そして28歳で念願叶ってマネジャーへと昇格した。

告げられた閉店の危機。赤字店舗復活へ、挑戦が始まる。

初めて任された店舗は、『カーニバルブッフェ 多摩境店』。だが、そこで笹原は厳しい現実を突きつけられる。赤字続きの不採算店舗だった『カーニバルブッフェ 多摩境店』は、近くない将来、閉店が見込まれていた。言わばこの登板は、敗戦処理の投手のようなもの。その悔しさが、笹原の雑草魂に火をつけた。

「何とかしてやるぞって気持ちで、死に物狂いで店舗の改革を始めました」

当時の店舗は、笹原から見ても目を覆う状況だった。クルーは意欲がなく、誰もお客様の方向を向いていない。着任早々、笹原は閉店の危機を全員に伝え、奮起を促した。だが、多くの人間は変化を好まない。QSCの徹底向上に取り組もうとする笹原に、クルー全員が反発。言い合いもした。退職者も出た。一人ひとりと面談を交わすが、中には面談さえ拒否する者もいた。だが、笹原は挫けなかった。共に現場に立ち、共に汗を流し続けた。
その情熱は、やがて周囲を動かした。一人、また一人と味方が増え、気づけばクルーが一丸となって、何とか店舗を良くしようとがむしゃらになっていた。結果、着任から半年で、単月の売上が前年比を上回った。ようやく復活の兆しが見えた。みんなで手を取り合い、喜びを分かち合った。その直後だった。上司から閉店を言い渡された。

涙で暮れた営業最終日。胸に刻んだ仲間への熱き誓い。

クルーたちの頑張りを誰よりも知っているからこそ、笹原の胸は申し訳なさでいっぱいだった。だが、店舗のトップに立つ者として、その事実をクルーに伝えないわけにはいかなかい。滂沱の涙を流す笹原に、クルーも嗚咽を止められなかった。

「閉店の日のことは今でも忘れられないですね。朝からずっと大行列。いろんな店舗のマネジャーや辞めたクルーまで来てくれて。もう1日泣きっぱなしでした」

店を閉めた後、笹原はクルーたちと慰労会に出かけた。戦線を共にした仲間たちと、朝まで飲み、語り明かす。別れ際、全員で円陣を組んだ。一人ひとりの顔を見つめながら、笹原は最後にこう約束した。

「いつになるかわからない。でも、絶対に『カーニバルブッフェ』を復活させる。だから必ず待っててください」

朝焼けの街に、笹原たちの誓いの声が響き渡った。

初めての新ブランド立ち上げ。挫折を経て見つけたニラックスの原点。

今の笹原を語る上で、もうひとつ欠かせない出来事がある。それが、『ブルーム 相模大野』への異動だ。『ブルーム 相模大野』は従来の客層に比べてややアッパー層をターゲットとした高級志向のブッフェレストラン。この出店が、同ブランドの1号店だ。今までやったことのない新業態の立ち上げに、笹原の胸は興奮で震え上がった。しかし、現実は予想した以上に厳しかった。

「クルーは全員新人。スキルも知識もない、赤ちゃんみたいなものです。だけど、オープン直後は、注目度が高くお客様も多い。料理もサービスも追いつかず、せっかく来てくださったお客様からお叱りを受ける場面も何度もありました」

当然、業績は見る間に急降下。上からの期待にも、お客様からの期待にも応えられない自分自身の実力のなさに、笹原は何度も唇を噛んだ。もがき苦しむ笹原を支えてくれたのが、エリアマネジャーだった。

「結果を出せない僕を、絶対に上長は見離しませんでした。それどころかこう言ってくれたんです、“お前の好きにやったらいい”って。こんな言葉、なかなか言えない。それだけ信じてもらえていることが、ただただ嬉しかったです」

激励を受けた笹原はもう一度、原点に返ることにした。ニラックスの基本方針は“お客様の声を聞き、問題点を見つけ、必ず改善させる”。そこで、店舗ミーティングを開き、アンケートをもとに問題点を共有し、その改善策に取り組んだ。価格改定など様々な施策を打った中、特に大きかったのが、ディナークルーの意識改革だ。それまでディナークルーは学生感覚が強く、サービスの対価としてお金をもらうという、ごくごく基本的なプロ意識も備わっていなかった。挨拶をしない、マニュアルを覚えない、営業日報を読まない。そんなクルーも当たり前のようにいた。笹原は一人ひとりと正面からぶつかり合い、共に汗を流して働くことで、仕事の喜びと責任感を全員に教えていった。

ニラックス甲子園出場へ。学生クルーと共に目指した優勝の二文字。

笹原の情熱に、仲間たちも応えはじめた。次第にお店の雰囲気も活気づいていく。模索の1年目を終え、2年目にして単月で前年の売上を上回った。視察に訪れたエリアマネジャーも「こんなにクルー全員がお客様の方を向いているお店はなかなかない」と称賛した。笹原だけの力ではない。一人ひとりのクルーの努力が、店舗全体に上昇気流を生んだのだ。
そんな時、『ブルーム 相模大野』が、ニラックス甲子園(旧名称:MS甲子園)の代表に推薦された。ニラックス甲子園とは、全店舗からノミネートされた優秀店舗のクルーが1年間の改善活動を全社員の前で発表する、社内でも注目のイベントだ。実は、笹原は2年前にも別の店舗で出場し、僅差で優勝を逃した過去を持つ。今度こそ優勝を掴みたい。無事に予選を勝ち上がった笹原は、決勝の舞台に出場するクルーを、学生メンバーから選抜した。

「一般的に飲食業界では、ディナータイムのスタッフは学生がメイン。入れ替わりの激しい学生は、定着率が良く社会経験も豊富な主婦と比べて、どうしてもレベルの底上げが難しく、業界の課題と言われています。だからこそ、彼らの成長ぶりを全社員に伝えたいって思ったんです」

笹原の想いを背負い、出場メンバーたちは練習を開始した。とは言え、昼は学校、夜はバイトがある。みんなで集まって練習をするには、おのずと深夜帯にならざるを得ない。出場メンバーは勤務後、近くのカラオケボックスに集合し、プレゼンの練習をした。嫌がる顔をする者は一人もいない。それどころかみんな真剣な表情で、アイデアを出し合った。もっとはっきり喋った方がいいんじゃないか。目線はまっすぐ前を見据えて。メンバー同士、お互いに相手のスピーチを聞きながら、少しずつ完成度を高めていった。
だが、運悪くテスト期間と重なり、本番前日のリハーサルに出場クルーの約半数が参加できなかった。他と比べてプレゼンの完成度は明らかに低い。本当に大丈夫か。メンバーの不安げな表情を見た笹原は、本番前夜、最後の練習を終えた彼らを集め、これまでの思いの丈をぶちまけた。

「一人ひとりにこれまでの想い出を語りました。僕らの武器は“想い”しかない。だから“想い”のすべてを本番にぶつけたいと、そう思いました」

笹原の話をメンバーたちはみな目を赤くしながら聞き入った。全員ですべてを出し切ろう。笹原とメンバーたちの気持ちがひとつになった瞬間だった。

想いのすべてを伝えたい。絆で掴んだ栄光の賜杯。

本番当日、客席は全国から集まったニラックスの社員で埋まっていた。他の出場チームが続々と渾身のプレゼンを披露していく。次は、自分たちの番だ。緊張と興奮で胸が高まる中、笹原は最後にメンバーにこう声をかけた。

「オレたちのいいところは、とにかく真面目なところ。だから楽しむよりも真剣にやろう。そう決めて、みんなで礼儀正しく客席に礼をして、ステージに上がりました」

いよいよ2年分の想いをこめたプレゼンが始まった。学生クルーたちのプレゼンを聞きながら、笹原はこみ上げる想いを抑えきれなかった。2年間の想い出が次々と脳裏に蘇っていく。熱い涙を浮かべながらプレゼンをするメンバーを、まるで親のような気持ちで見つめていた。
そしてそれは笹原だけではなかった。会場中が、学生クルーの言葉に耳を傾けている。その場に居合わせた全員がひとつになったような熱気と感動が場内に満ちていた。結果、『ブルーム 相模大野』が優勝。オープンから2年の新ブランドが、あらゆる強豪店舗を抑え、頂点に輝いた。

「もう思い切り泣きましたね(笑)」

そう照れ臭そうに栄光の瞬間を笹原は振り返る。

「ニラックス甲子園がくれたのは、自信。学歴も何もなく、頑張っているのになかなか結果を出せていなかった僕に、自信を与えてくれました」

誰もが羨むエリート街道を歩いてきたわけじゃない。そんな笹原の歩みを支えたのは、どんなときも温かく見守ってくれた上司、そして心をひとつ汗を流した仲間たちだ。彼らへの感謝の気持ちに応え続けたい。その想いが、笹原を突き動かす原動力となっている。
現在、笹原は新天地でまたイチから理想の店舗づくりに情熱を傾けている。その先に目指すものは、エリアマネジャーへの昇格。人一倍、コンプレックスの強かった負けず嫌いは、これからもNo.1を目指して、前へ前へと突き進んでいく。たくさんの愛すべき仲間たちの想いを背負って。

(掲載内容は取材当時の情報です)

 

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